[Prologue]

[Main story]
・First Impression
・Second Finding
・Playing Tag1
・Playing Tag2
・Playing Tag3
・Playing Tag Epilogue
・a little plots 01
・a little plots 02
・a little plots 03
・Merciful Murder 01
・Merciful Murder 02
・Doppelganger
・姫と王 01

[番外編]
・MerryChristmas[BL]
・相対正義論New
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・First Impression Side-b
・ep01 [BL]
・ep01.Side-b [BL]
・分かたれた家系

相対正義論17

ビルの戦い3

ぐきっ、ぐき。
手の骨が、悲鳴を上げる音が聞こえる。そんなことすらわからない位に、意識がかすむ。
ぐびっ、ぐび。
首もとから、生命が奪われていく音。

ここで…


終わるわけには……




ばきっ






突如、視界から真木が消えた。

「なんや、あいつが言った相手って、これか?」
黒い髪、赤紫の眼。歪んだ笑顔の青年が、月をバックに立っていた。蹴りをかましたのだろう、片足で立っている。

「ふざけよって。ロキのやつ、こんなつまらないモノで俺が満足すると思ったんやろか?」
続く素早い中段蹴り。倒れた真木を、地面を踏み固めるかのようにためらいなく何度も踏みつける。
ばきばきばき、と、骨の砕ける音がする。人の形だったものがかさかさに乾き、まるで氷の塊を踏み砕くかのように、ぱきぱきぱき、と砕けてく。
「何や、こんなんでも一応いっちょ前の鬼みたいな消え方するんやな。」
嘲りを浴びながら、真木だったものは完全に砕け、その欠片さえも砕け散って粒子となり、風に舞い消えた。気配的に、青年は完全な鬼ではない、鬼人だろう。

「生まれ変わって出直せ、アホ。」

吐き捨てる。そこに転がっている死にかけの渓のことなど、どうでもいいようだ。
遠くから、サイレンの音が聞こえる。警察のサイレンの音、続いて救急車の音。
「なんや、千恵美やん。異犯の連中もいっぱいおるし…ちっ、今回は分が悪いか。」
青年が、憎々しげに自分の指をかむ。
青年はそのまま高低差のある隣のビルまで飛び移り、渓の視界から消えた。

ぼんやりとした意識で、渓はその様子を見ていた。
結果的に、鬼人に助けられたことになった。真木を倒すのを阻害したのは、人間である羽取だった。自分を殺そうとしたのは、なりそこないの鬼にされた真木だった。
おのれの無力が悔しいのか。よくわからない熱い感情が胸の中をかけ巡った。
頬を伝う暖かさが涙なのか、血液なのか、分からなかった。

『Writted by ピコリ』